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イメージ力を鍛えると国語の偏差値は飛躍的に上がる!

第8回 説明文/書き抜き問題

山本講師(鉄人会スーパープロ家庭教師)

 今回からは説明文の問題に入ります。説明文が理解できるかどうかは、筆者の意図したことをいかに早くつかめるかにかかっております。
では、早速次の文章をできるだけ身近で具体的なイメージを思い描きながら読んでみましょう。制限時間は5分です。

 コミュニケーション(通じ合い)は、一方交通の話し方ではなく両面交通、すなわちキャッチボールだと述べましたが、コミュニケーションの場における「聴く」ということは、相手の話に集中し、「音を観る」ときのように自分を忘れ、自分を「無」にして、相手の意見、反応、結論、判断、感想などを一応受け入れることなのです。水がいっぱい入っているコップは、それ以上水を受け入れませんが、からっぽのコップはいつでも水を注ぎ入れることができるのです。まず自分を無にして、相手の話を受け入れる。そのためには、自分のコップに水がいっぱいはいっていてはだめで、自分自身をからっぽのコップにすることです。

 自分をからっぽのコップにするには、人間尊重の態度、そして努力と忍耐がいります。人のために自分のエネルギーをうんと「与(あた)える」用意のある人でなければできないものです。人の話をきいているとき、私たちはどうしても自分の考え、またその問題についての反応、感情などを1.「おあずけ」にすることができないようです。話し手の話だけに集中し、自分の考えを、しばらく棚(たな)の上に「おあずけ」にすることは意外にむずかしいのです。もしこの棚上げの「おあずけ」が簡単に私にできるのなら、坐禅のとき、あれほど、苦労しなくてもよかったかもしれません。

 私たちは、今までの習慣として、この棚上げの「おあずけ」的な聴き方をするのに、二つの障害物を身につけています。第一には、自分をからっぽにする、すなわち集中することが容易にできない。第二には、人の話をきくとき意識的に、あるいは無意識のうち批判的に身構えてしまい、自分の意見や感情その他で武装し、相手の話を最後まできかないで、はねつけてしまう。つまり自分の頭の中にはいってきた話が、自分の気に入らなかったり、自分の意見と相容れなかったり、また結論や判断と異なっていた場合に、相手の話にだけ集中しないで、自分のものと比較したり、批判的な立場に自分を置いてしまっていることで、これは「聞いている」ので「聴いている」のではないのです。「おあずけ」の意味は、自分を「無」にして聴く態度ですが、これは一応自分の考えを保留して聴くことで、相手の立場に立ち、相手の考え方を理解しようとする努力をいいます。いうまでもないことですが、このことは相手の話を無条件に受け入れることではない。無条件に受け入れるとなると、それは話したいことだけ勝手に話すという一方通行の裏返しにしか過ぎないのです。

 自他の意見と批判精神がぶつかり合うことこそ、むしろ会話が活気を帯びて展開するために欠かせない要素であり、この上なく楽しい刺激でもあります。そのためにも、相手の話を最後まですっかり聴きとるという訓練が、2.第一段階として大切なことになってきます。「言うは易く、行うは難し」で私自身をふくめて、ほとんどの人びとは、人が話を続けている最中にまるで隙あらばの身構えで素早く噛みついたり、鞭をふるったり、ぐさりとメスを入れたりします。結局、最後まで球をみつめていません、すなわち、最後まで音を観ていないから、相手の話を「理解した」と思う資格も、「わかった」という資格もないのです。つまり、球をとりそこねてヘマをしているのに気がつかないのです。坐禅で「音を観る」とき、途中で雑念のために中止されているのに、平気で最後まで「音を観た」と考えたり、言ったりしているのと同じことです。

 相手の言うことを信じるとか、信じない、共鳴するとか、反対するとかいうのは次の段階ですることで、それは導入部としての第一段階がスムーズに行われたあとの問題なのです。

 話しことばは一回限りのものです。西尾実先生が言っておられるように、一回一回の私たちのことばは歴史的であり、放たれた矢のように永遠に戻ってこないものです。人の話を最後までよく聴く人――すなわち、よいきき手は、即座に自分勝手な結論を出すのを差し控え、じっとだまってきいています。これがよいきき手の一番大きな特徴でしょう。反対に悪いきき手ほど、早合点します。つまりは誤解にほかならないのですが、感情の目盛りはピンとはね上がり、アッという間に爆発してしまいます。「自分はよくて相手が悪い」という絶対的な信念で、相手に非難の矢を浴びせるのです。

 よいきき手は話し手の言おうとしている中心思想を簡単に、自分のことばでまとめることもできるし、話し手がことばにつまったりした場合、巧みにもつれた糸をほぐしてやったり、うまいタイミングで油をさしてやったりします。反対に悪いきき手は話し手のことばじりをとらえて、鬼の首でも取ったように声をあげたり、全体の中心思想になんの関係もない細部をとりあげて、それを大問題のように扱ったりします。「聴く」ということは簡単にできることではありませんが、その最初の段階としてだまること――集中して最後まで聴く訓練をすることです。耳だけできくのではなく、目も、口も全ての感官を総動員してからだ全体(全身)で話し手に協力する(自分を与える)ことです。つまりこれが自分を忘れて相手を受け入れる訓練で、積極的なきき方の根本的な態度です。努力と忍耐。この二つがなければ、積極的な聴く態度は身につきません。生まれながらに与えられた能力ではないからです。ピンポンと同じ初歩的な訓練、あるいは坐禅のつらさでもあります。

(斎藤美津子の文章より)

 コミュニケーション、特に相手の話しを聴くことに関して述べられていましたが、あなたの生活の中の色々な会話の場面が浮かんできたことと思います。
では、設問にかかりましょう。

【問1】 傍線部1.「おあずけ」とはどういうことかを示している部分を「.........のこと」につながるように本文中より10〜15字以内で抜き出しなさい。(ただし、句読点は含みません。)

【問2】 傍線部2.「第一段階として大切なこと」とありますが、第二段階として大切なことは何でしょうか。このことについて書かれている一文を本文中から、最初の5文字を抜き出して答えなさい。(ただし、句読点は含みません。)

 【問1について】
 『「おあずけ」とはどういうことか』を示している部分なので、本文中より『「おあずけ」は......ということだ。』や、『「おあずけ」の意味は......』という言い回しを探しましょう。すると、傍線部@を含む行から数えて11行目から13行目にかけて『「おあずけ」の意味は......努力をいいます』の一文が見つかります。次に、「.........のこと」につながるように、しかも10〜15字以内という条件なので『自分を「無」にして聴く態度』(11文字)が正解となります。ちなみに、『相手の立場に立ち、相手の考え方を...........努力』も内容的には合っていますが、字数が26文字で10〜15字以内という条件に合いません。

 【問2について】
 「第二段階について書かれている」一文なので、本文中より「第二段階」あるいは「第二段階と同じ意味を持つ言葉や表現」を探しましょう。すると、傍線部Aを含む行から数えて10行目に「次の段階」という表現が見つかります。そして、9行目から11行目にかけての「相手のいうことを信じるとか......あとの問題なのです。」の一文の中で「次の段階」つまり「第二段階」でするべきこと、問題となることが書かれています。したがって、正解は『相手の言う』となります。

飛躍アドバイス

 書き抜き問題には、(タイプI)「一文全体を抜き出す場合」(タイプII)「部分的に抜き出す場合」(タイプIII)「問題文にあった形で抜き出す場合」の3種類あります。上記設問では問1はタイプIIIに、問2はタイプIに該当します。
書き抜き問題では「いかに迅速に、正解を探し当てられるか」が問われています。設問傍線部分の前後に見つかる確率が高いといえますが、最近の入試問題の傾向としては一概にそうとも言い切れません。傍線部分からはるか離れて見つかるケースも増えています。
では、書き抜き問題に対応するテクニックを以下にまとめましたので、是非とも参考にしていただきたいと思います。

 《テクニックT》
 本文中で、正解のヒントとなる言葉や言い回しに印をつけていこう!
⇒同一の言葉は言うまでもなく、同義語(同じ意味の言葉)、対義語(反対の意味の言葉)なども要注意

 《テクニックU》
 字数制限が多いので、文字数の数え方を工夫する。
⇒一字ずつではなく、5文字ずつ区切りながら数える癖を身につけると、かなりスピードアップしますよ!

 《テクニックV》
 正解を探す時は「速く、かつ的確に」文章を見ていこう!(長文を読むスピードアップにもつながります。)
⇒一行を半分に分け、ひと目で半行を写真をとるかのように見ていく。このとき、「漢字だけを選り分けて見る」意識をもっておくと、うまくいきます。
例)「計画その他一切のものが自分の頭から消え去った。」の文中からひらがなのみ選り分けると「その のものが の から え った」となり意味が不明ですが、漢字のみ選り分けると「計画 他一切 自分 頭 消 去」となり、何となく意味がわかるはずです。

 国語の問題は、算数のように公式や定理という厳然とした客観的事実のみにもとづいて作成されているわけではありません。作成者の人生観や心情も入ってくることになります。
つまり、国語の問題を解くということは作成者のことをより理解するということでもあります。日頃から人間への理解を深める修練を積むことが、国語の実力アップにもつながるといえます。

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