現在位置: トップページ >>

イメージ力を鍛えると国語の偏差値は飛躍的に上がる!

第9回 説明文/つなぎ言葉・指示語

山本講師(中学受験鉄人会スーパープロ家庭教師)

  今回は説明文のつなぎ言葉指示語に関する問題の解き方について学習します。では、早速次の文章を読んでみましょう。ペットを飼った経験のある方はスムーズに頭に入って来やすい文章だと思いますが、そうでない方もいつものように、目の前に動物がいるイメージを鮮明に浮かべつつ読んでみて下さい。制限時間は5分間です。

 子供の頃(ころ)読んだ童話などでは人間と動物とが自由に会話を交え、友達になるといった物語が多い。こんなふうに鳥や獣(けもの)、虫や魚などと話が出来て、友達になれたらいいなと思ったものであった。

 子供の頃だけでなく中学生時代には、研究すれば本当に鳥や獣と会話出来るのではないかと本気に考えて、杉(すぎ)林の中で姿が見えないように頭からすっぽりとマントを被(かぶ)って座(すわ)り込(こ)み、何時間も鵯(ひよどり)の鳴き交(か)わす声を聞いてそのまねをしたり、ある時は先代江戸屋猫八の動物のものまねのレコードを買ってきて勉強したものだった。

作家になってからも、飼育していた狐(きつね)と何とか会話してみたいと、その声をテープに録音していろいろとまねしてみたものだが、私のように試みないまでも少年時代にこんな気持ちを抱(いだ)いた人はかなりいるに違(ちが)いない。私の場合、野生の鳥獣(じゅう)との会話はまず無理と諦(あきら)めたが、動物との会話をしてみようという気持は犬に向けられていった。

というのは、私の家では私が赤ん坊(ぼう)の時からほとんど欠かすことなく犬を飼っていて、家人同様に扱(あつか)っていたから、犬も自分を私達家の者と同じと思うらしく、長年飼われた犬などは、年をとってくると私たちの気持ちをよく理解し、[A]私たちも彼(かれ)らの気持ちが解るようになっていたからだ。

[B]「犬は人間の言葉を理解する」という意見と、「犬は人間の言葉は理解出来ない」とする意見とは昔から語られていて、世界の有名な動物学者の間でもしばしば論争されているが、その決着は未(いま)だについていないようだ。

犬が人間の言葉を理解するという説の旗頭(がしら)は進化論学者のチャールズ・ダーウィンで、

「犬はたくさんの単語や文句を理解する。この点では犬はちょうど生後十ヶ月から一年くらいの幼児と同じ発達の段階にあると言ってよい。[C]幼児もたくさんの単語や文句を理解はするが、まだ一つの単語も発することは出来ないからだ」

とその著『人類の由来』の中で述べている。

シートン動物記のE・T・シートンも『私の犬ビンゴの話』の中で、狩(か)りに出たシートンが他の猟(りょう)師が仕掛(か)けた狼罠(おおかみわな)のトラバサミに足を挟(はさ)まれ、窮(きゅう)地に陥(おちい)っていた時、連れて行った猟犬のビンゴが救ってくれた事を書いている。

『このときシートンは馬車に、銃(じゅう)も狩の道具も置いたまま歩き回っていた。そして仕掛けられていた狼用のトラバサミにうっかり足を挟まれたのだった。トラバサミは強力で簡単には外れない。これを取るにはネジ回しでネジを抜(ぬ)き取るしかない。[D]ネジ回しを入れた鞄(かばん)は馬車に置いてきた。助けを呼ぼうにも近くに人家もない。 日が暮れかかっていてぐずぐずしていたら狼や熊(くま)などが出て来て襲(おそ)われる危険があった。』
シートンは近寄って来たビンゴに、
「ネジ回しを持って来い」
と命じた。ビンゴはすぐに馬車の所に走って行って鉄砲(ぽう)をくわえてきた。
「違う違う。鉄砲じゃない。ネジ回しだ」
ビンゴは違うと言われ、馬車に取って返し、今度は弾(だん)帯をくわえてきた。
「違う、それでもない。ネジ回しだ」

ビンゴは困った様子だったが、命令されたので三度とって返し、今度はネジ回しをくわえて来たので、シートンは罠から脱(だっ)出することが出来た。

ビンゴはネジ回しという単語を知らなかったので戸惑(まど)ったが、「持って来い」という単語は知っていた。だから何度もいろんな物を運んで来た。三度目も違っていたなら、シートンがOKを出すまで忠実に品物運びを続けたであろう。この事実から、シートンは犬は人の言葉が理解出来ると言っているが、果してそうであろうか。

これに反して、犬には人語を理解する能力はないとする論者にドイツのベーゲ博士がいる。博士は言う。

「犬が一定の命令語に対し正確に作用するのは言葉の意味を理解するからではなく、訓練によって習得した一定の動作を行うだけの事である。例えば飼い主が『お手』と言うと手を出すがそれは手という意味を知っているからではなく、『お手』という飼い主の声の調子でいつも手を出すように練習させられた結果にほかならない。[E]もし飼い主が『お手」という言葉で椅子(いす)の上に飛び上がることを教えればやはりその通りするに違いない」

だが博士はこう付け加えることを忘れてはいない。

「しかし、それには犬が事柄(がら)を正確にまた速(すみ)やかに判断する能力をもっていることを認めなければならない」

(出典:戸川幸夫『イヌ・ネコ・ネズミ』)

 さて、動物が目の前に鮮明なイメージとしてあらわれたでしょうか。特に、シートンと猟犬ビンゴとのやりとりの場面では周りの情景やシートンの緊迫した表情や声、ビンゴの鳴き声などのリアルな映像は浮かんできたでしょうか。
 では、早速設問に取りかかりましょう。

【問1】 傍線部「私のように試みないまでも少年時代にこんな気持ちを抱(いだ)いた人はかなりいるに違(ちが)いない。」とありますが、「こんな気持ち」とはどういう気持ちでしょうか。本文中より、「〜という気持ち」につながるように10〜15字以内で抜き出しなさい。(ただし、句読点は含みません。)

【問2】 空欄[A]〜[E]にあてはまる言葉を下記ア〜クより一つずつ選んで答えなさい。
ア.それから イ.また ウ.ところが エ.だから オ.ところで カ.つまり  キ.あるいは ク.ただし ケ.なぜなら コ.たとえば

 【問1について】
 まず、指示語(こんな)が指す部分は通常は直前の部分となるので傍線部の直前2、3行あたりをよく見てみましょう。そうすると、本文中に「飼育していた狐と何とか会話してみたい」とたしかに気持ちが表現された部分が見つかります。
そこで、この「飼育していた狐と何とか会話してみたい」の部分を「こんな」の部分に「という」を追加して置き換えてみましょう。「私のように試みないまでも少年時代に飼育していた狐と何とか会話してみたいという気持ちを抱(いだ)いた人はかなりいるに違(ちが)いない。」となり、不自然な文章となってしまいます。次に傍線部の直後2、3行あたりをよく見てみましょう。
そうすると、本文中に「動物との会話をしてみよう」と気持ちが表現された部分が見つかります。

さらに、「こんな」の部分に「という」を追加して置き換えてみると、「私のように試みないまでも少年時代に動物との会話をしてみようという気持ちを抱(いだ)いた人はかなりいるに違(ちが)いない。」と自然な文章となります。しかも字数は12字で設問の条件「10〜15字以内」も満たしています。
したがって、正解は 動物との会話をしてみよう です。

【問2について】
空欄Aの直前部分「長年飼われた犬などは、年をとってくると私たちの気持ちをよく理解し」と直後部分「私たちも彼(かれ)らの気持ちが解るようになっていた」とは、たとえば「山は緑色だ」と「海は青色だ」との関係のように対等・並列の関係となります。したがって、空欄Aには並立のつなぎ言葉『また』が当てはまります。

空欄Bですが、一字下がった形式段落のはじめに当てはまるつなぎ言葉で、しかもここから話題が変わっています。したがって、空欄Bには転換のつなぎ言葉『ところで』が当てはまります。

空欄Cの直後では「.....まだ一つの単語も発することは出来ないからだ」と直前部分の理由を説明しています。 したがって、空欄Cには理由のつなぎ言葉『なぜなら』が当てはまります。

空欄Dの前後を見ると直前部分「これを取るにはネジ回しでネジを抜(ぬ)き取るしかない」と直後部分「ネジ回しを入れた鞄(かばん)は馬車に置いてきた」と反対の内容になっていることが分かります。したがって、空欄Dには逆接のつなぎ言葉『ところが』が当てはまります。

空欄Eの直前部分「手という意味を知っているからではなく、『お手』という飼い主の声の調子でいつも手を出すように練習させられた結果にほかならない」と直後部分「もし飼い主が『お手』という言葉で椅子(いす)の上に飛び上がることを教えればやはりその通りするに違いない」との関係は、たとえば「冬は寒い」と「いつもより厚着をする」のように前の内容が原因や理由となって、その結論が後にくるという順接の関係になります。したがって、空欄Eには順接のつなぎ言葉『だから』が当てはまります。

飛躍アドバイス

 指示語については指示内容が何なのか明確にした上で、まずは直前部分、次に直後を探しましょう。抜き出した部分を実際の指示語の部分に当てはめてみて、自然な文章になっているかどうかを確かめてみましょう。このとき、設問の条件指定(文字数や文末の形など)に細心の注意を払いましょう。

つなぎ言葉についてはまず、直前と直後の文章関係を正確に把握し、7種類(順接・逆接・並立・添加・選択・転換・説明)のうち最適な言葉を当てはめてゆきます。7種類のつなぎ言葉は下記のとおりです。よく、学習しておいて下さい。

  • 1、 順接...前の事柄が理由や原因となり、その当然の結果や結論が後にくる。
    (だから、したがって、それで、そこで、すると、など)
  • 2、 逆接...前の事柄と逆になる事柄や食い違う事柄が後にくる。
    (しかし、だが、ところが、けれども、でも、が、など)
  • 3、 並立...前の事柄と後の事柄を対等に並べる。
    (また、および、ならびに、など)
  • 4、 添加...前の事柄に後の事柄を付け加える。
    (そして、さらに、そのうえ、しかも、など)
  • 5、 選択...前の事柄と後の事柄のどちらかを選ぶ。
    (または、あるいは、それとも、もしくは、など)
  • 6、 転換...前の事柄の話題を変える。
    (さて、では、ところで、ときに、それでは、など)
  • 7、 説明...前の事柄を言い換えたり、補ったり、例を示したり、理由を述べたりしてくわしく説明する。
    • (1)換言・要約...前の事柄を言い換えたり、まとめたりする。
      (つまり、すなわち、要するに、など)
    • (2)補足...前の事柄を補ったり、条件などを付け加える。
      (ただし、ちなみに、もっとも、なお、など)
    • (3)例示・比喩...前の事柄に対して例を挙げたり、別のものに例えて説明する。
      (たとえば、いわば、など)
    • (4)理由...前の事柄の理由を説明する。
      (なぜなら、というのは、など)
パパとママの勉強部屋
中学受験の模試について
中学受験塾の紹介
中学受験に絶対に役立つ!必勝アドバイス

サブメニュー

コンテンツ