現在位置: トップページ >>

イメージ力を鍛えると国語の偏差値は飛躍的に上がる!

第12回 説明文/記述式問題 I

山本講師(中学受験鉄人会スーパープロ家庭教師)

  今回からは2回にわたり、説明文の記述式問題について学習します。今回は記述式問題の中でも特に文章の要旨をまとめる方法について解説してゆきます。
では、まず次の文章を目の前にありありと鮮明なイメージが浮かぶように留意しつつ、スピードも意識して2分以内くらいで読んでみてください。
なお、出典は『ぼくのマンガ人生』(手塚治虫)です。

 みなさんはこれまで、だれとつきあってきましたか。まず家族、それから学校の友人がありました。家の近所の人とつきあっているという人もいるでしょう。それは日本中の全部の人間、あるいは世界中の人間からくらべるとほんの砂粒というか、小指の先ぐらいの数の人なのです。

 社会に出ると、就職があります。家庭を持つこともあります。そうなると、それまでつきあっていた人はほんのひと握りで、みんななれあいの人だったということがわかります。これからみなさんがつきあう人は、まったく見ず知らずの人です。自分がつきあいたくもない、赤の他人とつきあうことが、これからの人生なのです。

 これはむずかしいことです。話したこともない、顔を見たこともない、名前も知らない人がいきなり目の前に出てきて、どうしても何かつながりを持たなければならないような関係になってしまう。なかには、顔を見るのも嫌だという中年がいたり、自分より美人だから嫌いだとか、性格がまったく合わないとか、虫の好かないような人とつきあわなければならないような人生を、延々と送らなければならないのです。

 ぼくもそういう経験があります。戦後すぐ、ぼくは大阪から東京へやって来ました。もちろん関西弁を使っている。まわりにはほんとうに一人も友達はいません。しかも、大阪弁をしゃべったら、「おまえ大阪だろう」とばかにするのです。東京の人間というのは、もともと地方から集まってきた人間のくせに、みょうにエリート面して、「大阪から来たやつ」とか「広島から来たやつ」とか、鼻でせせら笑う。田舎者扱いする。腹が立ちましたね。そのころ大阪の人間というのは、欲が深いとか、金儲けがうまいとか、へんなことを言われて、しゃくにさわってしょうがなかったものです。

 気に入らないことはやめればいいじゃないかという気分の人がいると思うのです。クラブ活動や趣味のグループに入ったり、恋人ができたりします。ところが、まわりの人や相手が気に入らなくなったり、あきてしまう。すると、「はい、さようなら」と言って、新しいクラブに入ったり、新しい趣味を持ったり、新しい恋人をつくったりします。青春時代、または社会に出る前の時期は、自分に一番合うようにスイスイ渡ってきた時期だと思うのです。

 大人になってからも、そんな気分を持ちつづけている人もいます。「まわりの人が気に入らないから、会社を辞めます」と言って会社を辞め、別の会社に入ってしまう人。「結婚してみるとおもしろくないので、離婚します」と言って、別の人と結婚する人。いったん就いた職業や結婚した相手を気軽に捨ててしまって、もっと自分に合う仕事に就いたり、別の相手と結婚したりします。そんなことも一度ぐらいはしかたがないかもしれませんが、それをつづけているうちにだんだん孤独になります。ひとりぼっちになります。

 もっとまずいことがあるのです。まわりの人に迷惑をかけることです。無責任に仕事を放棄してしまうとか、家庭を捨ててしまうということは、つながりのある人に大きな迷惑をかけてしまうことになります。

 ぼくのマンガ『ジャングル大帝』の主人公は、レオという名の白いライオンです。白いライオンは、山口県の自然動物園に一頭生まれたらしいのですが、ふつうありません。白子というものです。白子といわれる動物はふつう生存能力が弱い。このレオはひじょうに体が弱くて、しかも生まれてからすぐ人間に育てられました。何年か人間に育てられて、文明社会の中でぬくぬくと育って、ある日突然アフリカに放り出されたのです。

 アフリカは弱肉強食の世界、人間で言えば一般社会の職場です。そこへこの白いライオンが放り出されて、一番最初にしたことは、ジャングルの中の動物たちと心を触れあうことでした。はじめひとりぼっちで泣いていたのですが、泣いているとどうしてもほかの猛獣たちがその声を聞きつけて、襲いかかってくる。ライオンは強い百獣の王ですが、レオは子供ですから、襲われればひとたまりもありません。それで自分たちの強い仲間をつくらなければなりません。それにはまず心の触れあいが必要だと感じたのでしょう。そしてたくさんの仲間を作り、最後にはジャングルの王様になってしまったのです。

 仲間だけで群れていられるうちは何も問題はありません。話しあって、事を決められるからいい。けれども、社会に出るとそうはいかないのです。ひとりぼっちで社会に放り出されるのです。レオと同じ立場なのです。そういうときにまず一番に重要なのは、人との触れあい、人とのスキンシップだということを忘れてはいけません。

 自分が世の中の中心だ、惑星が太陽のまわりを回るように自分を中心に何でもやってくれるのだと思うのは、大まちがいなのです。楽しみを求めるあまり、自分のために一番楽しいものに寄りかかろうとすることがあります。Aがあきたらそれを捨てて、Bに行ってしまって、自分は幸せだと思う。あるいは、どんどん自分の趣味を変えていく。そういうことが通用する世界ではないということは、わきまえていただかなければならない。

 まったく知らない、あるいは関係ないと思っている人が、これからの長い人生の中でどう関係してきたり、自分にものすごく重要な関係を持つようになるかわかりません。人生の中でたった一回会うことが、自分の人生にものすごく重要な影響を持つということが、きっとあります。

 お茶の世界に一期一会という言葉があります。お茶を立てる人と、飲む人がただ向かい合って話しているだけではありません。おたがいの人生を見つめあって、人生の深遠に向かって悟りをひらいていくという道です。この一期一会という言葉はぼくの座右の銘なのですけれども、みなさんのにもしてほしい。ある席で、ある場所でわずか一回だけ会った人たちが、自分の人生にとって重要な人かもわからないということです。

【問題】
この文章で筆者が最も言いたかったことはどのようなことでしょうか。90字以内でまとめなさい。(なお、句読点も一字とみなします。)

【解説】
  筆者の言いたいこと(主張)をまとめるには、文章の全体像が見えていなければなりません。そのためには、説明文を読むコツを知っておく必要があります。まず大切なことは、メリハリをつけた読み方を心がけるということです。同じ文章でも、慎重に読むべき箇所とサーと流してもいい箇所があります。説明文の本質は、筆者が読者を説得するためのアピール文だともいえます。これは、日常の会話の中で他人を説得するトークと特徴が似ているといえます。
では、他人を説得するにはどのような話し方をするでしょうか。一般的な特徴をいくつかまとめてみました。
(1)強調したいことを同じ言葉だけでなく、言い方をかえて何度も繰り返す。
(2) プラス(マイナス)の事柄をアピールするために、あえてマイナス(プラス)の事柄を引き合いに出す。
※たとえば、現代生活が豊か(=プラス)ということをアピールするために、昔の生活が貧しかった(=マイナス)ということを引き合いに出して説明することなど。
(3)抽象的な内容をわかりやすくするために、具体的な内容(例示や詳細解説)を伝える。
(4)最も伝えたいこと(結論)は最初と最後にアピールする。

 国語の説明文も上記1〜4の特徴を備えております。したがって、説明文を読む時はこれらの特徴を念頭に置きつつ、文章全体を棒読みするのではなく強弱をつけて読む必要があります。
では、まず強く読むべき部分はどこでしょうか。また、効果的な印のつけ方にはどんな方法があるでしょうか。上記の特徴から解説します。

【(1) について】
 繰り返し出て来る言葉は、筆者が強調したいことであり、重要な言葉すなわちキーワードですので、しっかりと意味をとらえる必要があります。したがって、キーワードには囲み線をつけながら強く読みましょう。
【(2)について】
 プラスの言葉には波線と+記号、マイナスの言葉には波線と−記号をつけることを意識するだけで、メリハリをつけた読み方が自然に身につくことになります。この場合は特には強弱を意識する必要はないでしょう。
【(3)について】
 抽象的な文章とは言い換えれば、余計な贅肉を殺ぎ落として、要約されたまとめ文のことです。したがって、わかりづらい文章、読みにくい文章だといえます。これを補うのが、具体的な文章、「たとえば〜」という形の文章です。身近なことや、視覚化しやすい言葉が中心となりますので、わかりやすい文章だといえますが、ポイントが何かをつかみにくい文章だともいえます。したがって、抽象的な文章は線を引きながら強く読み、具体的な文章は抽象的な文章をより理解するための補足文くらいに考えてサーと読んでみてはいかがでしょうか。
【(4)について】
 よく言われることですが、筆者の言いたいことは最後の段落に出てくることが最も多いといえます。したがって、最後の方は特に注意深く読む必要があります。また、最初の段落である程度結論を述べる場合もありますので注意しましょう。

 では、早速以上の方式で前出の『ぼくのマンガ人生』を読んでみて下さい。はじめだけ、少し戸惑う部分もあるかと思いますが、理解度は格段に深まっているはずです。

 さて、【問題】に戻りましょう。筆者の言いたいことつまり要旨を書く場合に使えるテクニックがあります。

  • 1.文末は『......することが大切だ。』あるいは『......するべきだ。』という表現にすること。(......の前に「したがって」というつなぎ言葉を使うと論理構成がしやすい。)
  • 2.キーワードは必ず入れること。
  • 3.最後の段落を中心として、「使える表現」に印をつけて、丸々書き抜きにならない程度に抜き出し、組み合わせる。
  • 4.指定字数が多い場合(50字以上くらい)で、字数が不足しがちな場合は、肉付けとして理由や原因、あるいは具体的な言葉を付け加えればうまくいくことが多い。

では、今までの解説をもとに要旨をまとめてみましょう。 以下は解答例ですので、参考にして下さい。
『一期一会という言葉もあるように、人生において人との出会い、心の触れ合いほど重要なことはないといえる。したがって、他人との出会いやつきあいを尊重した生き方をすることが大切だ。』(86字)

飛躍アドバイス

説明文の要旨をまとめる力を養うには、
1.適切な読み方を身につけること(実は会話に相通ずるものがあります)
2.本文中から丸抜きにならない程度に上手に抜き出して、理由や具体的表現で肉付けしつつ記述する練習をすること、この2点が大変重要です。

パパとママの勉強部屋
中学受験の模試について
中学受験塾の紹介
中学受験に絶対に役立つ!必勝アドバイス

サブメニュー

コンテンツ