第19回 詩/総合 2
山本講師(鉄人会専任スーパープロ家庭教師)
今回は、前回に引き続き、詩の総合的な読み取りテクニックについて学習します。まず、次の7つの詩をイメージをリアルに思い浮かべながら読んでみましょう。 (出典はすべて「まど・みちお」作です。)

読み終えて、いかがでしょうか。何か、不思議な後味が広がっているのではないでしょうか。実はそれぞれの詩には特有の面白さが技術的に施されているのです。では、分析してみましょう。
(一)、空気やかいだんを擬人法で表現することで、普通のかいだんが「うつくしいいす」になり、後半の「算数をかんがえている」ところでは、何か幾何学的な紋様を連想できるおもしろさがあります。
(二)、モジャモジャの毛がすぐ連想でき、擬人法でかわいらしさを感じさせます。
(三)、普通なら「ゆくえふめい」のところを発見されるのですが、このように書くことは、いかにもすぐに見えなくなってしまう「ノミ」にふさわしいです。
(四)、「なさけなや」となげくところ、ヒョウタンの形のおもしろさをうまく言っているところがおもしろいです。
(五)、この詩によると、ゆめはねじを巻いてみることになり、その音がいびきだといいます。いかにもさもありなんと納得できてしまうのですが、それはどうしてでしょうか。きっと、ゆめも、眠りも、いびきも、私たちが意識的にコントロールできないから(自動的)ではないでしょうか?
(六)、一行ずつで、一文字下げて書いてあるところがはがきの書き方を連想させます。どうして、「もじが、こぼれ、おっこちそう」なのでしょうか。一つは、はがきが、配達されるものだからにちがいありません。もう一つはきっとはがきが小さいものですから、そこに文字をびっしりと書いていたりすると、そう感じるのでしょう。
(七)、上から読んでも、下から読んでも何とか意味が通じる点がおもしろいです。
他にもいろんな見方、いろんなおもしろさの味わい方があると思います。ぜひそれを発見してみて下さい。その時、はじめて、「詩を読めた」といえるでしょう。
もう一つ大切なことは、おもしろさを発見したのはいいですが、それをだれにもわかるように説明できるかということです。ただ「おもしろい」ではひとりよがりなだけで、なぜ「おもしろいのか」を人に説明できる(客観的に書ける)ということが大切なのです。はじめは、もどかしい思いをするかもしれませんが、そこをこらえて、冷静に書くように、これが記述や作文の基本的な態度なのです。 私たちは、なぜおもしろいのか、理由が分からないまま(あるいは、説明できないまま)楽しんでいることが意外に多いのです。人が笑うから笑う。人間には確かにそのような共感が大切ですが、一度そこを疑ってみることは、国語のためというより知性のために大いに役立つはずです。
日本語の「おもしろい」ということばには二つの意味があります。一つは「おかしい」という意味、落語などを聞いて笑う場合。もう一つは「興味がある、引かれる」という意味で、勉強のために必要な「おもしろさ」はこの後者の方です。たとえば、授業の「おもしろい」先生にも、この二つのタイプがあるはずです。もちろん、二つともある先生が、一番いい先生だといえるのではないでしょうか。
以上のように、「詩の面白さを味わう重要性」について述べてきましたが、最後に「面白さを味わう」ために最低限必要な知識をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
1、詩の攻略法
- 書かれている内容を正しく理解しよう。
- 言葉を補い、普通の文章のような感じにして内容を正しくつかもう。
- 比喩などの言葉の意味を正しくつかもう。
- 主語・述語、修飾関係には気をつけよう。
- 場面や情景をありありと浮かべてみよう。
- 作者の目が何に注がれているのかを考えよう。
- 表現が工夫されている部分に注目しよう。
→言いたいことがあるから、書き方を工夫するはず。 - 連(内容のまとまりによって、一つにまとめたもの。普通の文章の段落に当たる。)ごとの内容やつながりをつかみ、詩全体の構成を考えよう。
- 感動の中心(作者にとって一番印象深いこと・感動したこと)を読み取り、主題(作者の言いたいこと)を考えよう。
2、詩の種類
- 形式
- 定型詩…音数などに決まった形式を持つ詩。
- 自由詩…決まった形式にとらわれないで、自由に表現した詩。
- 散文詩…普通の文章のように行分けしないで書かれた詩。
- 内容
- 叙情詩…作者の気持ちや感動が表現されている詩。小学生の読む詩はすべてこの種類。
- 叙事詩…歴史上の事件・神話や伝説などを題材にした詩。
- 用語
- 文語詩…昔の言葉(文語)で書かれている詩。
- 口語詩…現代の言葉(口語)で書かれている詩。
3、さまざまな表現技法
| 表現方法 | 説明 | 効果 |
|---|---|---|
| 比喩法 | あるものをほかのものにたとえる | 生き生きとした感じ |
| 擬人法 | 人以外のものを人の動作などにたとえる | 生き生きとした感じ |
| 倒置法 | 語句の前後の順序を入れかえる | 強調 |
| 対句法 | 形の似ている語句などを対の形で並べる | リズム感・強調 |
| 反復法 | 同じ言葉をくり返す | リズム感・強調 |
| 呼びかけ | だれかに呼びかけるように表す | 親しみの気持ち |
| 体言止め | 行末を体言(名詞)で止める | 余韻・余情 |
| 省略法 | 言葉を省略して表す | 余韻・余情 |
【飛躍アドバイス】
詩は楽しむもの、味わうものですので、常に「面白味」を発見する習慣を身につけましょう。ただし、最低限の知識は必要です。入試でも知識自体が問われる問題が増えていますので、要注意です。詩を読むだけでなく、ほんの少し気付いたことがあったらすぐに「自分の詩」を作ってみてください。だんだんと、詩を書いた人の気持ちがわかるようになり、センスも抜群に磨かれるはずですよ。