ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

公立中高一貫校の適性検査の特徴

■公立中高一貫校という選択

私立中学受験の志願者数が長引く不況と少子化の影響で、減少傾向にあります。そんな中で伸びてきたのが公立中高一貫校。

学費は中学が義務教育なので無償、高校は公立なので授業料は安いですし、学費補助の政策が続けば授業料は無料と家計への負担は軽い。おまけに進学指導にも力が入って、生徒を適性検査で選んでいるため、選りすぐりの生徒が集まります。学習環境として魅力があります。

さらに初期に開校した公立中高一貫校が大学進学実績で躍進しているのを見れば、私立中学は経済的に無理でも、公立なら一貫校にわが子を通わせたいと考える保護者が少なくないでしょう。

入学試験ではないと言っても、まったく対策なしに受験して合格するのはハードルが高いと思われます。私立中学のように2年も3年も塾に通わず半年から1年くらいの受験勉強で公立中高一貫校の適性検査に臨み、検査に漏れたとしても中学での学習にはずみをつけて、高校入試に備えるという二段構えの戦略をとるご家庭も増えてきました。

通学可能な範囲では試験日が同じ日に行われるため、併願ができないという事情が公立中高一貫校にはあります。倍率を考えると一発勝負ではリスクが高い。そのため私立と併願するか、公立中学から高校受験を睨みつつ、中学でも公立中高一貫校を受けてみる、そのどちらかの選択になるのは当然です。

今回は、あまり知られていない公立中高一貫校の適性検査、いわゆる入試問題について分析してみましょう。

■公立中高一貫校の適性検査の特色

【出題のタイプ】

適性検査問題を複数の学校について調べてみました。学校により特色がある出題傾向が見られます。その中でも視点によってタイプが分かれます。

  • ・私立中学入試問題に近い検査
  • ・文科省の「全国学力・学習状況調査」タイプ

さいたま市立浦和中学校の適性検査のように私立中受験生が違和感なく受けられる問題の学校があります。公立の名門校としてトップレベルの小学生が欲しいという意思表示でしょうか。

しかしながら大多数は文科省が実施している「全国学力・学習状況調査」問題タイプの出題ですOECDによる世界学力調査のPISA型問題と呼ぶ方が解りやすいでしょう。ただし、制限時間の割には問題のボリュームが多く、処理スピードが要求されると感じます。学習内容は小学校の範囲を逸脱するものではないため、難問はありません。

私立中学受験のように、算数で特殊算のパターン学習をたくさんする必要はないのです。というよりも、パターン学習だけでは通用しないのです。

【出題の特色】

入学試験ではないために、国算理社の科目に別れていません。検査I、II、IIIのようにタイプが複数に分かれていることはあります。人文系と理数系、論述系など。

この科目別でないことを逆手にとって、社会と理科、算数の融合問題が見られます。同じ大問の中で横断的に出題するわけです。言ってみれば総合的な学習の手法でしょうか。もちろん同じ社会科である地理歴史融合問題はとてもよく見られます。

それから現代社会における国際的な問題、最近ではエネルギーを含む地球環境問題、循環型で持続可能な社会、生物多様性の維持等が出題に色濃く反映されています。

どの学校にも共通しているのは、表やグラフ、実験結果、引用された文章などの資料を読み解いて、分析し、まとめる力を要求すること。それと作文が課されることです。

各学校のアドミッションポリシー(どういう生徒を求めているか)の資料の中に「次世代のリーダー」という言葉が必ずと言っていいほど含まれています。分析力とコミュニケーション能力を備えた人物を欲しているのだと思います。

事実、小学生に試験をするなら、こうした問題がふわさしいと思う良問ぞろいです。この問題を突破した生徒が、大学受験で良好な実績を挙げても不思議ではありません。

【特徴的な出題】

私立武蔵中学の入試で有名な「おみやげ問題」と同様の、実物が配られ、それを観察して問題に書かれている特徴と組み合わせて、問に答えるという問題がありました。

また、2つの言葉を使うという縛りをつけて、作文させる。あるいは、引用された文章を読んで、作者の主張と自分の考えを盛り込んで論述するとか、相反する主張の文章を読んで、自分はどう考えるかを文章にまとめる問題がありました。単なる作文ではなく、議論で自分の考えを堂々と発表できる能力が求められます。

算数では思考力を要する文章題が出題されます。提示された課題は何か、前提条件は何か、その中から解答を導きだしていく。多くは記述式ですし、作図を要求されることもあります。計算自体は難しくないけれども、手順が複雑なので、それを分解して簡単な問題に還元して解くということです。

【公立中高一貫校に対応できる力】

まとめると、公立中高一貫校を受検するには、次のような力を養う必要があります。

  • ・論理的な文章を読み取る力
  • ・分析する力
  • ・他人の文章をまとめる力
  • ・自分の意見をまとめる力
  • ・問題を解決する力
  • ・コミュニケーションする力
  • ・空間を認知する力
  • ・論理的に考える力
  • ・好奇心が旺盛で、なぜを追求する性質
  • ・てきぱきと処理する力
  • ・粘り強さ

小学生の学習範囲を逸脱することなく、こうした力を見分ける問題が作られています。そのためにした勉強はけっして無駄にはならず、ブースターロケットを装着して中学の勉強をすることになるでしょう。

【具体的な勉強法】

公立中高一貫校の適性検査の問題は、多くがホームページから入手可能です。他県のものも手に入れて、過去問練習を積むことが、対策の早道だと思います。また、最近では対応する参考書等が出版されています。2013年度版もいずれ出版されるはずです。

  • ・公立中高一貫校/わかる!/適性検査45題詳細解説 (朝日小学生新聞の学習シリーズ) 大原予備校、 朝日学生新聞社
  • ・公立中高一貫校に入る! 2012年入試用 学研教育出版
  • ・公立中高一貫校適性検査問題集 全国版 2012年度受験用
  • ・中学受験 公立中高一貫校のすべて―全国96校の傾向と対策 若泉 敏、 高清水 美音子

半年から1年の集中した学習を通して中学への備えとし、公立中高一貫校の検査も受けてみるという選択も悪くないと思いますが、読者の皆様はいかがでしょうか。

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