秘伝!国語入試問題の解き方

第7回 選択問題の解き方(4)文章の特色

[ 問 ]

 次にあげた各文は、この文章の特色について述べたものです。最も適当なものを、次の中から選びなさい。

  • ア 短い文をたたみかけることで、出来事をたんたんと語っている文章である。
  • イ 会話文が多く、情景が目の前にありありと浮かんでくるような文章である。
  • ウ 主人公の心の動きや悩みを中心に、劇的な展開でえがかれた文章である。
  • エ 様々な人物を登場させて、動きのある場面を回想風につづった文章である。

[ 解説 ]

 「文章の特色」とありますから、問題文全体を調べる必要があり、かなり時間がかかる場合があります。

 問題文の内容や文体がよく記憶できている場合には比較的楽に解答できますが、直感だけにたよって解くのは危険です。

 まず、アの選択肢を検討してみましょう。よく読むと2つのポイントがあることに気づきます。

1. 「短い文をたたみかける」

2. 「出来事をたんたんと語っている」

 いくつかのポイントに分割する。

 このようにいくつかのポイントに分けた後で、さらに、どれが最も調べやすいかを決めます。この場合は1です。なぜでしょう?

 形のはっきりしたものと、はっきりしないものとではどちらが調べやすいでしょうか。これは考えるまでもなく、形のはっきりしたものの方です。「出来事をたんたんと」より「短い文」の方が、形がはっきりしていてとらえやすいはずです。

 検討する順序を決める。

 イ・ウ・エについても同様の作業を行います。最も調べやすいものには下線を引きます。

1. 「会話文が多く」

2. 「情景が目の前にありありと浮かんでくる」

1. 「主人公の心の動きや悩みを中心に」

2. 「劇的な展開でえがかれた」

1. 「様々な人物を登場させて」

2. 「動きのある場面を」

3. 「回想風につづった」

 以上、準備が整ったところで、各選択肢の下線部が正しいかどうかを、問題文と照らし合わせながら調べます。

 1「短い文をたたみかける」

・「02」の問題文を見てみましょう。

 「彼の生家の文房具屋(ぶんぼうぐや)も同じ町内にあって、二人は幼いころから顔見知りであり、町内の子ども会の会員同士にすぎなかったのだが、その年の晩秋のある日曜日の朝、子供会の恒例で町内の小公園を清掃(せいそう)したのち、掃(は)き集めた落ち葉でたきびをした際、彼が、いつもの銀杏(ぎんなん)の実のほかに、ポケットにしのばせていったいくつぶかの生栗をそっと火の中へ投げ入れたことが、二人を思わぬ仲に引きずりこむきっかけになったのであった。」

 段落全体が長いひとつの文で構成されています。

・同様の例が「06」にもあります。

 「その休暇の間に、彼がかつての罪を里子に告白する気になったのは、もはや自責の念がが自分の力では支えきれぬほど心に重くなっていたせいでもあるが、里子の何事もなかったようなけなげさに、強く心を打たれたからでもあった。」

・全般的に長い文でつづられています。アは消去します。

1「会話文が多く」

・会話を示す「 」は、問題文の中に10ヶ所あります。

・問題文を眺めた感じでは、後半部に「 」が目立つものの、全体としては多いとはいえません。大半は作者の語りで構成されています。

・ただし、多いか少ないかの基準がはっきりしませんので、保留とし、2を検討します。

2「情景が目の前にありありと浮かんでくる」

・これはあてはまります。特に、生栗がはじけて里子が目にけがをしたときや、彼女が「染直」に運び込まれたときの情景などはたいへんリアルです

・1が保留、2が適当と考えられますので、保留です。

2「劇的な展開でえがかれた」

・物語の展開をたどってみましょう。

1. (予告):「ポケットにしのばせていったいくつぶかの生栗をそっと火の中へ投げ入れたことが、二人を思わぬ仲に引きずりこむきっかけになったのであった。

2. (里子のけが):「ぽんと、ひときわ高い破裂(はれつ)音がして、それと同時に、彼のとなりにしゃがんでいた里子が、きゃっと悲鳴をあげてあおむけに倒れたのである。」

3. (里子の失明):「うわさ通りに、里子の右目が治療のかいもなく失明したのは、中学二年の夏であった。」

4. (彼の告白と里子の答え):「彼は、心苦しい思い出のある小公園まで里子にきてもらって、ここの落葉をたいたとき生栗を入れた犯人は自分だと告白し、里子の望むどんなつぐないでもするつもりだといった。すると、里子は思いがけなく、「ありがとう。うれしいわ。あたしね、あなたがいつかはきっとこうして打ち明けてくれると思って、心待ちにしていたの。」と笑っていった。「……というと?」「あたし、あのたきびに生栗を入れたのがあなただってことを知ってたの。あなたがそっと投げこむのを見ちゃったから。」彼はひどくおどろいた。

5. (結婚):「結婚は、大学を出て東京の商事会社に就職してから二年目に、彼の方から申し込んだ。

6. (里子の死):「里子は妻として可もなく不可もなく、子を三人産んで無事育て上げると、もはやこの世には未練がない、とばかりに、ある冬の夜明けに急性心不全であっさりとあの世へ旅立ってしまった。」

・短い文章の中で、意外な方向に話が発展して行きます。2は適当と考えられますので、1も検討します。

1 「主人公の心の動きや悩みを中心に」

・「その休暇の間に、彼がかつての罪を里子に告白する気になったのは、もはや自責の念がが自分の力では支えきれぬほど心に重くなっていたせいでもあるが、里子の何事もなかったようなけなげさに、強く心を打たれたからでもあった。」とあるように、「いたずら心」が原因となって起こった事件から、自分の罪が露見することへの「恐れ」、「自責の念」による罪の告白など、主人公である彼の「心の動きや悩みを中心に」物語が展開していることは明らかです。

・1・2ともに適当と考えられますので、正解の候補です。

1「様々な人物を登場させて」

・登場人物は、「彼」「里子」「子供会のこどもたち」「里子の家族(特に母親)や使用人」ですが、中心人物は「彼」と「里子」の二人だけです。

・消去します。

 アとエが消え、イとウの比較になりますが、明らかにウが正解になります。

[ 正解 ]

ウ 

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